ついにやってきた、グランドオープン。ドキドキしながら、お店のカーテンを開けると、驚愕の光景が。周りには田んぼしかないお店に、なんと敷地をはみ出るほどの長蛇の列。お客様の片手にはチラシが。それを見たときの私の感情は、歓喜!という感情ではなく圧倒的な焦燥感でした。
「やばい…そんなにたくさん作っていない…」
案の定、昼の12時にはプリンやシュークリームなどのスイーツはもちろん、たまごも完売してしまい、店内はすっからかんの状態に。それでも行列は途切れていなかったため、売り切れのお声がけをしたところ「どれだけ待ったと思うんだ!」「もっと早く言ってくれよ!」と多くのお客様から落胆とお叱りの声が飛び交いました。さらに、「プリンを4個購入したはずが帰ったら2個しか入っていない」などのお渡し忘れのお電話を数多くいただいてしまい、閉店後も返金対応に駆け回ることに。
そんな中、返金にご自宅までお伺いした時に、ご迷惑をかけたにも関わらず「とてもおいしかったよ、応援してる」「次はシフォンケーキを食べてみたい、楽しみにしてるね」「常滑に素敵なお店を作ってくれてありがとう」などの暖かいお言葉をいただいたことを今でも覚えています。製造計画の至らなさが仇となり、十分に商品を用意できず、多くのお客様に迷惑をかけてしまったグランドオープンでしたが、お客様に喜んでいただける商品を作ることができたと確信した日でもありました。
その確信を胸にお客さんの喜ぶ顔を想像しながら次の日のプリンを徹夜で作り続けたのはいい思い出です。
デイリーファーム 専務 市田 旭宏